暁降ちのころ

暁降ち(あかつきくたち)と読みます。40歳から始めた日常の整理、備忘録などを思うままに好き勝手書いています。

俺がサービス残業を許さない理由

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サービス残業許すまじというのは当たり前なことなんだけど、たぶん15年くらい前までは結果よりも過程が重要視される会社が多くあって「長時間労働してる」=「頑張って仕事してる」という価値観を持った管理者は多くいたんじゃないかと思う。俺の会社も同じく。始業時間の1時間前から仕事してたり、休日でも会社に来て仕事してたりする人が謎に評価され、何故か昇進する。だけど自分と同じ働き方を部下に求めるけど大失敗する。そんな人たちを結構見てきた。かくいう俺自身もそういう社風のなかで20代を過ごし、どちらかといえば昭和チックな働き方が残ってると自覚してるし、考え方の根底には『質を求めるなら量をこなさないと』という部分があるから、あまり偉そうなことは言えないけど、それでもひとつだけ守ってることがある。

 

サービス残業は絶対に許さない。

 

もちろんそれを強要されてするなんてことはあってはならない。それよりも労務管理してて厄介だなと思うのが、自分の意思でサービス残業する人たち。半ば強制力を持って帰らせても、「明日の準備が心配だから…」とか「(今日そこまでする必要はないんだけど)念のため終わらせておきたいから」とか、何かと理由をつけてこっそり残っちゃう人たち。それに加えて『それで本人のモチベーションが上がるなら、あんまり口うるさく言いたくないな』っていう一部の管理者。こっちとしては「いやいや、あなたたちが良くても会社としては困るんだから」と本当に頭を抱える。(なんとなく監視カメラを搔い潜ってオフィスに戻っちゃってた電通の人たちを思い出すけど)

なので、幹部会議の場でも、定期的にしてる勤怠情報のチェック作業のときでも、年上や先輩の管理職と喧嘩寸前になるくらいまでやりあうんだけど、自分が嫌われても、煩く思われても、細かい奴だと思われても、そう考えるようになったきっかけは、やっぱり過去の経験にある。

 

俺がまだ役職に就いてない管理部門の平社員だったとき。違う部署の係長さんが残業続きで日に日に顔色が悪くなってる様子があって、少し心配してた。そんなときにその係長から休日出勤の申請書が上がってきて、「え、この日に出勤しちゃうとめちゃくちゃ勤務が続いちゃうじゃん」って思って確認しに行ったんだけど、今思えば覇気のない声で「他に出勤できる人がいないから、大丈夫だよ」と言われ、半信半疑ながらに承認先の管理者に書類を回覧した。

それから何日かして、事務所で仕事してたら、別の社員が入ってきて「●●さん(その係長)が駐車場に停めてる車のなかで倒れてます」と。慌てて見に行ってみると、運転席のリクライニングを倒して横になるその係長の姿があった。呼びかけてみるけど反応が鈍く、返ってきたのは頭が痛いとの言葉。すぐに救急車を呼んで病院に行ってもらったら『睡眠不足からくる過労』との診断で、幸いにしてその後も含めて心身に影響は無かったんだけど、もうね、めちゃくちゃ後悔した。「あのときの休日出勤を差し戻してたら」とか「残業時間をもうちょっと細かく確認しておけば良かった」とか「もし心身に影響が出て仕事はもちろん生活に影響が出ることになってたら、ご家族に申し開きできないよ」とか。もちろんその役割は直属の上長だったり、労務管理責任者だったりして、いち担当者の俺ができることなんてほとんど無いんだけど、それでも声をあげてたら何か違ったかもしれない。

そこから、二度と同じことをしないために行動を起こした。まず人事担当部長(私の会社の労務管理責任者)と面談させてもらい、上記のことを凄く担当者として後悔してること。会社として二度と起こしたくないから、発言権が欲しいこと。もちろんその発言をするために、人事労務のことをもっと勉強したいこと、以上を伝えた。20代の若手社員が生意気言って怒られるかと思ったけど、そのときは今より血気盛んだったし、そこまで考えてなかった。とにかくこの会社のヌルい体質をなんとか変えなきゃと思って。

幸い、怒られることもなく、担当部長がその思いを汲み、フォロー役になってくれた。「各上長には俺の名前を出して改善させなさい」と。その方がプロパーじゃなく違う組織から来てくれてたのも大きいかもしれない。それから、グレーだった労務管理をひとつずつ直していき、サービス残業を良しとする雰囲気の変革に取り組んだ。ときには喧嘩のような怒鳴りあいしたり、ときには聞く耳を持ってもらえず悔しくて寝れなかったりしたけど、同じことを繰り返し続けていくと、社員の世代交代とともに、少しずつそれが当たり前になってくれた。すべては、あのときの思いを繰り返したくないという思いから。そんな経験。

別にこの経験を自分から声高に言うことはないので「この人は何故そこまで言うんだろう」と思う社員はいるのかもしれない。けど俺も考え方を曲げる気はない。そもそも理由がどうであれサービス残業がOKなんて雰囲気が戻ってきてたまるか。

それでも定期的にやってくる気がする我が社のサービス残業論議。戦いは続く。