暁降ちのころ

暁降ち(あかつきくたち)と読みます。40歳から始めた日常の整理、備忘録などを思うままに好き勝手書いています。

人事異動の季節

だいたいの会社では、年度といえば4月始まりの3月終わりだと思います。俺の会社もそう。そして定年退職という仕組みがあるので、その年齢に達した者が会社を去り、新しい社員がまた入ってきます。要するに年度が替わるということは人が動くということ。そう、人事異動の季節です。バックオフィスである管理部門全般の業務に携わっているなかでも、俺は比較的「人事」という業務の比重が高い状況です。また、人事といってもそれぞれの会社でカバーしている所掌は様々だと思いますが、例えば採用や退職事務、人材開発。他にも給与事務などにも携わってるなか、今日は配置換(以下「異動」と言いたいと思います)について書いてみます。

まず、人員配置に関する計画というものは事業計画に紐づいているため、基本的には中長期で考えています。キーになる何人かの社員をピックアップし、その社員を軸に3年~5年後のことまで考えて計画します。それをベースに、来期のことはだいたい半年~1年前頃に骨子を決め、時期が近づいてくるにつれ、次年度の強化点だったり、改善点だったりを考慮しながら微調整し、具体化させていく。俺の会社では毎年こんな感じで進めていきます。

次に具体に社員ひとりひとりの異動について。それについては、これまでの経験上、3種類あると思っています。ポジティブな異動と、ネガティブな異動。そして特に大きな意味はない異動。ポジティブな異動の方は、本人の成長やキャリアアップ、部署への刺激を期待して行うもの。色んな部署での経験を積ませて、適性を見つけていく異動もこの部類かと思います。なので、部署間を行ったり来たりしたりさせることはほとんどありません。ネガティブな異動の方は、反対にその社員を取り除かないと部署や周囲の社員の成長が阻害されており、それを取り除くために行うもの。他に、本人の成長速度が期待したものじゃなかったり、これ以上の結果求めるとメンタルダウンしそうな場合も同じくです。そのため、その社員の適性やキャリアは度外視され、部署間を行ったり来たりということも起こり得ます。残りの異動は、その両者の穴埋め的要素が大きくありますし、あとは組織の流動性という名のもとにある、いわゆる様子見的な要素とでも言うのでしょうか。適材適所なんて、やってみなきゃ分からないこともあるので、とりあえず大きな枠組みで動かして、たまに光り出す社員を拾い出すというような感じ。正直に言うとそんなところです。

本人に内示する際ですが、ポジティブな異動の方はもちろん正直に伝えます。もしかすると、本人にとってみれば短期で見た場合にポジティブでないと感じる場合もあるかもしれませんが「これは君のキャリアを考えたうえでのプロセスなのだ」と。一方でネガティブな異動の場合、そして残りの場合、馬鹿正直に伝えることはできないので、本人にはポジティブな理由も後付けして伝えます。勿論、はっきり言わないと分からないような社員には心を鬼にして伝えますが。例えば、責任を一切取らない責任者には「これからは責任を取らなくても良いポジションで仕事をしてもらう」というように。

ビジネス研修などで「262の法則」というものは聞いたことがあると思いますが、俺はこの異動というものに当てはめて考えても、同じことが言えるのではないかと感じています。もちろんポジティブな異動が前の2、ネガティブな異動が後ろの2、残りが真ん中の6という具合。そう考え、そしてこの一年を振り返った場合、もし異動の内示を受けた場合に自分自身はどの部類に入るでしょうか?十分に頑張った一年が評価された異動かもしれませんし、「やっちゃった」一年の結果の異動かもしれません。あるいは、目から鱗ともいえるびっくりな異動があるかもしれませんね。

たまにFA制がある会社って、自分のやりたいことを社内で実現しやすいという意味では、良いなって思ったりもします。けどそれって結局はジョブ型雇用を前提にしていて、メンバーシップ型雇用の恩恵を十分に受けたうえで言ってたら、ただの良いとこ取りって気もしなくありません。実際はいきなりプロフェッショナルを求められるので、かなりきつい部分もあると想像しますし、きっと新卒で入った今の会社で十分に経験を積み、色んな境遇に恵まれてスキルアップすることが出来た今だからこそ、良く思ってしまう部分もあるのかなと思います。(チャレンジという点で魅力的ではありますが)

一年あっという間で、今日からついに3月。いよいよ年度末の繁忙期に突入し、あと数日で次年度の会社の新体制もオフィシャルになります。そんな時期だからこそ、あらためて自分の考えをアウトプットしてみました。