暁降ちのころ

暁降ち(あかつきくたち)と読みます。40歳から始めた日常の整理、備忘録などを思うままに好き勝手書いています。

鑑了 余命10年

Prime ReadingでKindle版が配信されているのは知っていましたが、そちらはまだ手つかずのまま、先にアマプラで鑑賞させてもらいました。一気見という訳ではなく、通勤途中だったり週末の空いた時間だったりしたのが、少し悔やまれますが。本作品は小坂流加さんの小説がもととなっており、監督が藤井道人さん、主演は小松菜奈さんとと坂口健太郎さんでした。

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以下、あらすじ。(参照 Filmarks

数万人に一人という不治の病で余命が10年であることを知った二十歳の茉莉。彼女は生きることに執着しないよう、恋だけはしないと心に決めて生きていた。そんなとき、同窓会で再会したのは、かつて同級生だった和人。別々の人生を歩んでいた二人は、この出会いをきっかけに急接近することに--もう会ってはいけないと思いながら、自らが病に侵されていることを隠して、どこにでもいる男女のように和人と楽しい時を重ねてしまう茉莉。--「これ以上カズくんといたら、死ぬのが怖くなる」。思い出の数が増えるたびに失われていく残された時間。二人が最後に選んだ道とは…?

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肺動脈性肺高血圧症(PAH)という数万人に一人という難病を患い、余命が10年であることを知った20歳の主人公が、死に向かって精一杯生きる物語。著者の小坂流加さんは、文庫版の編集が終わった直後に病状が悪化し、発売3か月前の2017年2月に逝去してしまったことを鑑了後に知ったのですが、小松菜奈さんの演技が素晴らしく、最初から最後まで胸が苦しく、切なく、おそらく映画館で集中して観ていたら嗚咽しながら泣いてしまっていたような気がします。

とにかく10年という期間がやるせなさすぎました。「死」というものに向かって自分の心を整理していくには長すぎるし、「生」を考えるのなら短すぎます。この年代で、恋人と結婚して10年後と考えると、少し成長した子供の姿だったり、育児から仕事に復帰した自身のキャリアだったり、今後の生活の基盤となる場所を意識しだしたり、俺はそんなことをイメージするかなと思ったんですが、ちょうどそのときくらいに家族を残して……と、考えただけで涙腺が緩んでしまいます。

実は、俺の姉の親友であり、俺自身も幼馴染だった方が、約20年前に二人の幼子を残したまま若くして癌で亡くなってしまったことがあります。当時、亡くなった事実そのものも勿論ですが、子供たちの成長を見れずして亡くなるその無念さに、こちらも押し潰されそうになったことが、後半、旅行から帰ってきた茉莉が母親に『もっと生きたい』と泣くシーンで、当時の感情がフラッシュバックしてしまいました。

仕方のないことではるんですが、年齢を重ねれば重ねるほど、気づくと1日1日が流れ作業になっていき、時間もあっという間に過ぎていってしまい、二度と戻ることはない今の大切さをつい忘れてしまうような気がします。今、こうして生活し、映画を観て、好きなコーヒーを飲んでいる。この「今を生きている」ということを大切にしなければならない。当たり前のようで当たり前でないこの一瞬を精一杯生きなければならない。そういうことを、あらためて考えさせられました。俺ももっと熱くならなければ。

ありがとうございました。

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