暁降ちのころ

暁降ち(あかつきくたち)と読みます。40歳から始めた日常の整理、備忘録などを思うままに好き勝手書いています。

鑑了 夜が明けたら、いちばんに君に会いに行く

最近、邦画、しかもかなり若い世代をターゲットにしているであろう邦画を何本か見たせいか、アマプラの「おすすめ」に、今までまったく手を出してこなかったジャンルが次から次に表示されてきます。本作品も、たぶん店舗にレンタルしに行ったらまったくスルーしてしまうであろう映画だろうと思いますが、やっぱり見てしまいました。

汐見夏衛さんによる小説がもとになっている作品だそうです。小説投稿サイト「野いちご」でケータイ小説として公開され、2017年3月に第1回野いちご大賞を受賞。その後、単行本が刊行され、映画化は2023年9月とのこと。監督は酒井麻衣さん。主演は久間田琳加さん、白岩瑠姫さん。

yorukimi.asmik-ace.co.jp

以下、あらすじ。(参照 Wikipedia

高校2年の丹羽茜は、過去の辛い経験のため、誰からも好かれる優等生を演じている。しかし、深川青磁にだけは、2年で初めて同じクラスになった時に、いきなり「お前のこと、大嫌い」と言われてしまい、茜はショックを受けるがなんとか受け流す。そんな時、たまたま風邪を引いた茜はマスクを着け、治った後も表情を隠すためにマスクが外せなくなる。夏休みになり、茜たちは進学補習で忙しい中、文化祭の劇の準備を始めようとするが、担任は茜に指示をするだけ、クラスメイトはすべて茜まかせで準備を進めようともしない。家庭では母親が家事や妹の世話などを忙しい茜に頼りすぎており、いい子でいようとした茜も徐々に疲れ切っていく。 劇の準備が進まず困惑した茜は教室を離れ、シャーペンで指を傷つけ、その痛みで心の平静を保とうとするが、傷だらけになった手を青磁につかまれて、シャーペンを取り上げられる。そして、茜とふたりで教室に戻り、自主的に何もしようとしないクラスメイトに青磁が「自分で考えて動けない馬鹿だったら俺が指示してやる」などと言い出すが、みんながうなずき、横暴で口は悪いがてきぱきと指示を出す青磁の言うことに素直に従い、賑やかに準備を進めていく。(以下、省略)

youtu.be

さすが10代に向けて作られたであろう作品だけあり、出演者は私のほぼ皆さん知らない人(鶴田真由さんを除く)ばかりでした。作品の刊行は2017年ですが、なんとなく「マスクが外せない」という部分が、あらためてコロナ禍を経験したなかで共感ポイントになったのではないかという気がします。

別のブログ記事を書きながらだったということもありますが、原作もまったく知らず、口コミやレビューも読まずで見始めたこともあり、前半は個人的に方向性が良く分からない部分がありました。学校では優等生、家庭でも妹の面倒や家事をよく手伝う茜。絵描きといっても自由奔放すぎるだろうという青磁。なんとなく二人は惹かれあうんだろうけど、それがどの部分なのかなと思いながら見ていました。(青磁のズボンの汚れが気になって気になって仕方なかった部分もあるかもしれません)

それが、茜の母が、青磁が茜と同じ小学校に通っていた子ではないかと気づいた瞬間。そして、それにより茜の心のなかの何かが動いたであろうそこからの演技力。少しずつマスクを外せるようになっていく茜を見ながら、後半は引き込まれてしまいました。

クライマックスにある屋上の色塗りシーン。現実でやると停学、下手すると退学ものですが、まぁそれは映画なので気にしないとして……とにかく色彩の描写が綺麗でした。ちなみに俺も空の色は好きです。晴れた夏の真っ青な感じ。冬の明け方の白みがかった青色。もちろんそのときの気分にもよりますが、一番好きな色は、暗くなって月や星空が出てからの空の色です。特に働き出してから、夜はたいてい仕事で疲れて下向き加減なので、暗くなってから見上げられるときに見る空の色。暗いんですけど、どこかポジティブに感じてしまいます。

最後に、この映画で気に入ったセルフを少し。

「言いたいことは言ったほうがいいよ」
「言いたくないことは言わなくていいよ」

言うも言わないも自分の自由。自分の心は自分で守る。

ありがとうございました。