暁降ちのころ

暁降ち(あかつきくたち)と読みます。40歳から始めた日常の整理、備忘録などを思うままに好き勝手書いています。

鑑了 明け方の若者たち

カツセマサヒコさんの小説を、松本花奈さん監督、北村匠海さん主演で2021年に映画化された作品で、公開が12月31日というお洒落な映画です。しかし俺はこの学生から社会人になる頃のストーリーが好きだなーと思いながらアマプラで鑑賞しました。

akegata-movie.com

以下、公式サイトからの引用。

東京・明大前で開かれた学生最後の退屈な飲み会。
そこで出会った<彼女>に、一瞬で恋をした。
下北沢のスズナリで観た舞台、高円寺で一人暮らしを始めた日、
フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり・・・。
世界が<彼女>で満たされる一方で、社会人になった<僕>は、
〝こんなハズじゃなかった人生″に打ちのめされていく。
息の詰まる会社、夢見た未来とは異なる現実。
夜明けまで飲み明かした時間と親友と彼女だけが、
救いだったあの頃。
でも僕は最初からわかっていた。
いつか、この時間に終わりがくることを・・・。

youtu.be

この手の映画の舞台はたいてい東京なんですが、この作品も明大前駅近くの「クジラ公園」だったり下北沢、高円寺などが舞台になっていました。土地勘があれば、『あー、あそこね』という具合にもっと楽しめたんだろうなと思うのは、田舎者の僻みかもしれません。まぁ単純に東京の街を楽しむという視点では面白かったです。

ストーリーとしては、主人公が年上の彼女に恋愛しながら、新社会人としての荒波に揉まれ、「本当にこのままでいいのだろうか」という将来への不安や、大人になっていくことへの葛藤を描いた青春ど真ん中なお話。恋愛映画と思いきや、それはひとつの要素なので、そんなに構えず見ることができました。

本作の面白さは、ストーリーの途中で彼女の隠された秘密が明かされるところかなと思います。これ書いてしまうと完全にネタバレになるんですが、彼女は結婚してるんですよね。そしてそれは”僕”も知っていたこと。下北沢に舞台を見に行ったあとのホテルまでの間の”僕”の煮え切らない反応だったり、「好き」と言われても「好き」と返さない”彼女”だったり、少しずつ感じてた違和感が、それで一気に繋がっていきます。僕が『2番でいいから、会ってるときだけは自分だけを見てほしかった』と涙を流すシーン。手放しに誰でもが共感できるとは言いませんが、これまでに叶わなかった片思いだったり、結果的に辛い恋愛経験したことがある人は胸が熱くなるんじゃないかと思います。

社会人になってからも、たまに学生時代の友人と会って年甲斐もなく深夜まで飲み明かして笑いあうことがあるんですが、この作品は何かその辺の感情が湧いて出てくる気がします。オールしたあとに街中がうっする明るくなってく光景はいまだに俺も大好き。夜が明けて、また現実世界が戻ってくる。スーツ着て通勤電車に揺られて、会社員という日常に戻ったとはいえ、楽しかった夜の時間があったことは事実で、そういうことを積み重ねながら、人間の深みが出てくるのかなーと思ったり。。。

 

あ、ちなみに本作品のスピンオフとして「ある夜、彼女は明け方を想う」というのがアマプラで公開されているらしいです。早速ウォッチリストに登録してしまいました。あと元になった小説、これもぜひ読んでみたいと思います・

 

ありがとうございました。