少し前に異動の話を記事にしました。この時期になるといつも思い出してしまう、以前に経験した大変だった出来事があるんですが、今日はそのことをリマインドしながら記事にしたいと思います。(もちろん諸事情から一部脚色ありです)
その異動は、完全にネガティブな異動でした。対象は周りからいわゆる「お局」と言われてしまう50代の女性で、とにかく問題の多い社員でした。
どういう点が問題だったかというと、まず公私混同が激しいという点。会社近くに住んでおられたからなのか、自席周辺が私物で溢れ、散らかし放題。顧客ともプライベートで連絡のやりとりをしてるという噂が出るくらいベッタリで、電話口でも「ニャーニャー」声。終いにはそれを見てる他の顧客からクレームが出る始末。発注業者の選定方法についても、今思えばアウトな案件があったのではないかと思えるほど、会社なのに個人で商売してしまう人でした。
次に勤務態度の問題。そのひとつが働き蟻が発する道しるべフェロモンよろしく、歩いた場所が分かるくらいの強烈な香水の匂い。香りじゃなく匂い。注意するとそれをセクハラに変換して聞く耳みたず。そして就業時間中の延々のおしゃべり。独り言ならまだしも、何かするたびに「ねぇ、●●さん」と、口が出て手が止まる&相手の手を止める。また声も大きく良く通る。さらに昼休憩も、一度行くと2時間くらいは戻ってこない。まさにやりたい放題でした。
最後は仕事っぷり。たまにする仕事の内容を確認してみると、文書は書けない。計算ができない。期限が守れない。良く今までクビにならなかったねと思うくらい、燦燦たる状況でした。
この問題をなんとかしないといけないと思い、俺が人事担当者になってから、まず材料集めをしました。責任者に意見具申するためのものです。問題行動を記録したり、周囲の職員からヒアリングしたり、このお局の異動先を探したり…等々。問題が解決できるのならと、協力者の数も部署内の8~9割以上だったようにも思います。そして、それが1年ほど経って実を結び、このお局にようやく異動の内示をかけることになりました。
我が社の内示日は新年度を迎える日の3週間前。その当日、内示は部長室で1対1で行われました。通常なら10分もかからないくらいで終わるのですが、そのときは20分経っても30分経っても終わらず、60分がそろそろ経とうとしたとき、ドアが開いて出ていくお局と交代するように部長から呼ばれたのは人事当局の我々でした。
異動を固辞している。辞めると言っているがどうする?
表現として正しいのかどうかは分かりませんが、部長からその言葉を聞いたとき、思わず吹き出しそうになりました。「好きにさせたらいいんじゃないですか」と。しかし同時に、絶対そんな気がないことは、それまでの下調べで分かっていました。要は、交渉のワードとしてその言葉を出したに過ぎないと。他にも、
▶昇任の話だと思っていたのに、異動とはあんまりな処遇だ
▶異動先には過去ハラスメントを受けた者(誰にも言っていない)がいる
▶私を良く思わない社員が嵌めようとしている 等々
まぁ泣いたり喚いたりしながら、好き放題言いたい放題だったそうです。飛ぶ鳥あとを濁さずの真逆。飛ばない鳥が前も後ろにも迷惑かけっぱなし状態。それなりにある社会人経験のなかで、後にも先にもこれほど『無様』な醜態を見たのはこのときが最初だし、最後だと思いたい心境でした。
その後の結末は、詳細に書くと長くなるので割愛しますが、結局は予定どおり異動して、人とほとんど接することがない閑職な部署に行ってもらいました。おそらく、いや絶対に、その人が復活して表舞台に戻ってくることは二度とありません。
この事例から、以降俺が教訓にしていることがいくつかあります。以下、その列挙。
- 下準備って大事。
- 問題社員への対処は早めにしないと、モンスター社員を作ってしまう。
- モンスター社員には毅然と対応することが超重要。
- 感情に流されないよう、しっかりとロジックの組み立てをしよう。
- 人事って真面目に考えるとしんどいから、ある程度は楽に考えよう。
まもなく迎える今回の内示日。今年は大丈夫だと信じています。