暁降ちのころ

暁降ち(あかつきくたち)と読みます。40歳から始めた日常の整理、備忘録などを思うままに好き勝手書いています。

読了 レモンと殺人鬼

著者 くわがき あゆ

十年前、洋食屋を営んでいた父親が通り魔に殺されて以来、母親も失踪、それぞれ別の親戚に引き取られ、不遇をかこつ日々を送っていた小林姉妹。しかし、妹の妃奈が遺体で発見されたことから、運命の輪は再び回りだす。被害者であるはずの妃奈に、生前保険金殺人を行っていたのではないかという疑惑がかけられるなか、妹の潔白を信じる姉の美桜は、その疑いを晴らすべく行動を開始する。


~~~~~以下、感想。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


この作品は2023年に「このミステリーがすごい!」大賞・文庫グランプリを受賞した話題らしい。『どんでん返しの連続で読者を驚かせる展開が魅力的な一冊です』とのこと。インスタのフォロワーさんが紹介してるのを見て、購入しました。


※以降は、ネタバレもあるので注意。

主人公の小林美桜は、派遣で大学の事務員として働く平凡な女性。しかし十年前に父親が通り魔に殺され、母親も失踪した過去を持つ。そして唯一の肉親である妹の妃奈も、山中で惨殺されてしまう。というのがストーリーの始まり。中盤は、妹の妃奈に、生前保険金目当てで交際相手を殺害したという疑惑が巻き起こり、姉の美桜は妹の潔白を信じ、その真相を探ろうと奔走する。まぁこの辺は、どこがどんでん返しなんだろう?と思いながら普通に読み進められる。そして後半よ。ほんと最後の1/3くらいよ。妹の妃奈の過去には思いもよらない秘密が隠されているんだけど。。。ここは時間作って一気読みすることをお勧めします。

全体的な感想として、確かに二転三転四転五転というほどにどんでん返しが続く。特にラストは予想を裏切る展開が次々と起こり、最後まで目が離せない。登場人物たちの思考回路も個性的で、普通では考えられないような奇妙な行動や発言が、物語に独特の味わいを与えている。

また、これは最後まで読むと分かるんだけど、レモンというフルーツが重要な役割を果たしている。レモンは父親が経営していた洋食屋の看板メニューだったチキンのレモンソテーに使われていて、レモンを搾るのは父親と仲の良かった娘たちの役割。だからレモンは姉妹にとって父親への思い出や家族の絆を象徴するもの。なんだけど、酸っぱくて苦い味がするレモンは同時に殺人鬼への暗示でもある。この対比が読んでいて面白い。

これは確かに、驚愕のどんでん返しミステリー。読み始めたら止まらなくなること間違いなしだと思います。

ありがとうございました。