暁降ちのころ

暁降ち(あかつきくたち)と読みます。40歳から始めた日常の整理、備忘録などを思うままに好き勝手書いています。

読了 アイネクライネナハトムジーク

著者 伊坂 幸太郎

 

ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、他力本願で恋をしようとする青年、元いじめっこへの復讐を企てるOL…。情けないけど、愛おしい。そんな登場人物たちが作り出す、数々のサプライズ。

 

~~~~~以下、感想。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

アイネクライネナハトムジーク」とは、伊坂幸太郎さんの連作短編集で、6つの物語が繋がっている。そしてこの本は、伊坂さんにとって「初」にして「唯一」の恋愛小説集だそうで、シンガーソングライターの斉藤和義さんとの交流からインスピレーションを得て書かれたものらしい。

 

この本のあらすじは、簡単に書くと次のとおり。(ややネタバレ有)

 

「アイネクライネ」:街頭アンケートに苦戦している佐藤は、偶然にもストリートミュージシャンの演奏に聞き入る紗季と出会う。彼女の手には「シャンプー」と書かれた紙があった。

「ライトヘビー」:美容師の美奈子は、常連客の香澄から紹介された声しか知らない男・学に恋をする。しかし、彼との関係は電話だけで、なかなか会えない。

「ベリー ベリー ストロング」:佐藤の上司の藤間は、妻と娘に出て行かれてしまう。その原因は、日本人初のヘビー級チャンピオン・ウィンストン小野の試合に夢中になりすぎたことだった。

「小さな夜」:佐藤と紗季は付き合い始めて10年になるが、まだ結婚には踏み切れない。佐藤は意を決してプロポーズをするが、紗季は返事をせずに家を出て行ってしまう。

「ナハトムジーク」:佐藤は紗季を探すために、彼女の手がかりとなる「シャンプー」の文字を追う。その途中で、彼は美奈子やウィンストン小野、そして紗季の秘密と出会う。

アイネクライネナハトムジーク」:佐藤と紗季の物語は、10年前に始まり、10年後に終わる。彼らの〈出会い〉は、他の人々の〈出会い〉とも繋がっていて、奇跡のような瞬間を呼び起こす。

 

伊坂ファンなら予想するとおりなんだけど、それぞれが絶妙にシンクロするのよね。現実と非現実が入り混じった不思議な世界を描いているとはいえ、その中には人間の心の奥底にあるものが映し出されている。私は映画も見ていないし、漫画も読んでいないので文章から想像する世界がすべてなんだけど、あらためてこの本を読むと、日常に潜む不思議や奇跡に気づくことができるかもしれませんね。天気の良い日、日当たりの良い屋外のカフェとかで読む爽やかな恋愛小説を求めてる人はぜひ。

 

ありがとうございました。