暁降ちのころ

暁降ち(あかつきくたち)と読みます。40歳から始めた日常の整理、備忘録などを思うままに好き勝手書いています。

読了 革命前夜

著者 須賀 しのぶ

 

バブル期の日本を離れ、東ドイツに音楽留学したピアニストの眞山。個性溢れる才能たちの中、自分の音を求めてあがく眞山は、ある時、教会で啓示のようなバッハに出会う。演奏者は美貌のオルガン奏者。彼女は国家保安省の監視対象だった…。冷戦下のドイツを舞台に青年音楽家の成長を描く歴史エンターテイメント。大藪春彦賞受賞作。

 

~~~~~以下、感想。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

次はどれを読もうかと本屋を探索してるときに気になって購入した本作。第18回大藪春彦賞を受賞した歴史エンターテイメントらしく、1989年の東ドイツが舞台だったのと、音楽や革命、ピアニストという私自身の好きな分野が揃っていたので思わず手に取ってしまった。

 

主人公の眞山柊史が、日本のバブル期を離れて、敬愛するバッハの故郷である東ドイツドレスデンに留学するところから始まる。そこで彼は、ハンガリーからの留学生でヴァイオリニストのヴェンツェル・ラカトシュや、オルガン奏者のクリスタ・テートゲスと出会う。ヴェンツェルは奔放な演奏で柊史を魅了し、柊史の伴奏者として共演するようになる。クリスタは、教会でのバッハの演奏で柊史に感動を与えるが、彼女は国家保安省(シュタージ)に監視されている身。そして柊史は、音楽に真摯に向き合いながらも、クリスタの存在を通じて、革命に巻き込まれていく。。。というお話。

 

この小説には、音楽と歴史の知識が豊富に盛り込まれており、読み進めるだけで知的好奇心を刺激される。特に音楽の描写は、曲が聴こえてくるような精密さと感性で魅了された。また、ミステリー的な展開もあり、物語としての面白さもある。登場人物たちの感情や思惑も複雑に絡み合い、人間関係のドラマも見どころのひとつ。

 

本作品は、音楽と革命が紡ぎだす歴史エンターテイメント。1989年という世界が一変した年を、音楽家の目を通して体験できる作品かな。

 

ありがとうございました。

 

 

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