暁降ちのころ

暁降ち(あかつきくたち)と読みます。40歳から始めた日常の整理、備忘録などを思うままに好き勝手書いています。

読了 滅びの前のシャングリラ

著者 凪良 ゆう

 

「明日死ねたら楽なのにとずっと夢見ていた。
なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている」
一ヶ月後、小惑星が地球に衝突する。滅亡を前に荒廃していく世界の中で「人生をうまく生きられなかった」四人が、最期の時までをどう過ごすのか――。

圧巻のラストに息を呑む。2020年本屋大賞作家が贈る心震わす傑作。

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~~~~~以下、感想。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

流浪の月を読み、映画を鑑賞し、一気にファンになってしまった作家さん。「汝、星のごとく」も、そのうち待ちきれずにハードカバーを買ってしまいそうだけど、ひとまずは文庫化されている作品から順番に読ませていただこうということで、本作品を手に取った。結論から言うと、描かれる家族愛に心がガシガシと揺れ動かされた。

1章、2章、3章と順番に語り手が変わっていくのだが、地球が無くなるというところは変わらない。隕石が衝突し、地球が滅亡するという、ある意味で最後のときをどう迎えるかということに向き合ったストーリー。日本的な働き方を揶揄してるのかなと思ったのは、そんな状況でも仕事をしてる人たちの描写。しかし最初は社畜と思っていたその人たちも、終盤につれて「それもこの最悪な状況で自我を保つためには必要なのか」とすら思えてくるのだから不思議。

個人的に好きだったのはLocoの章。なんとなく俺自身の10代の学生時代、そして20代で結婚し人生の方向性を定めかけていた頃を投影しながら、読んでしまった。この章は確か最後の章だったと思うけど、この構成のおかげで読後感が凄い爽やかだった。あとはやはり文章が綺麗だ。主に通勤時間に読んでいたが、後半は間違いなくページをめくる手がとまらない。

ちなみに本作品はNHK-FMで2022年にオーディオドラマ化されているそう。そう聞くとやはり触れてみたくなる。

ありがとうございました。