暁降ちのころ

暁降ち(あかつきくたち)と読みます。40歳から始めた日常の整理、備忘録などを思うままに好き勝手書いています。

読了 名探偵のままでいて

著者 小西 マサテル

tkj.jp

かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は、七十一歳となった現在、幻視や記憶障害といった症状の現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。しかし、小学校教師である孫娘の楓が、身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻すのだった! そんな中、やがて楓の人生に関わる重大な事件が……。


~~~~~以下、感想。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ナインティナインのオールナイトニッポンは、俺が高校生のときだから、かれこれ20年以上聞いている番組。途中、就職や結婚、子育てとライフステージの変化があり、離れてしまった時期もあるが、最近になりSpotifyで聞けるようになってからというもの、愛犬の散歩のお供として完全復活している。そんなリスナーなら誰しもが知ってる「小西さん」が書いた本作品。気になってはいたものの、単行本には手がでないなと思っていたら、知らぬ間に文庫化され、いつもいく書店で平積みされているのを発見。もちろん、手にとって即お買い上げとなった。

ミステリー小説というものにあまり慣れ親しんでいなかった俺も、少し前から米澤穂信さんの小説を読み、その面白さを感じつつあったところ。そんなバックグラウンドもあり、本作品、とても楽しませてもらった。

簡単に言うと、認知症のひとつであるレビー小体型認知症を患っているおじいちゃんと小学校の教諭をしている孫娘が、身の回りで起きるミステリーを解決していくという物語。まず、レビー小体型認知症。恥ずかしながら初めて聞く病名。アルツハイマー認知症、そして血管性認知症とで三大認知症と言われているそう。しかし、それも冒頭の記述ですっと理解することができたし、あとは主人公の楓が主体となり書かれている文体にもすぐ慣れた。ストーリー前半のゆっくりとした展開からは一転、後半のスピード感溢れる展開は思わず息を飲みながら没頭してしまった。

6編の短篇集となっているものの、それぞれに伏線も散りばめられており、それが最終章で回収される。そして友人の岩田と四季。個人的には「四季って名前素敵すぎない!?」と思いながら、それぞれも良いキャラクター。あと、おじいちゃんが謎解きするときに煙草を吸う描写。思わずその情景が目に浮かぶようだった。

各章の長さ、物語全体の長さもちょうどよく、終わり方もお洒落。もちろん表紙のイラストも素敵。放送作家さんなので読む前から面白いだろうなとは思っていたけど、その期待どおりの作品。続編が出てるそうなので、また読めることが楽しみになってくる。そんな感じでした。

ありがとうございました。