暁降のころ―映画と読書のジャーナル―

暁降(あかときくたち)と読みます。もっぱら映画と小説の感想がメインです。

鑑了 ソング・トゥ・ソング

  • (監督) テレンス・マリック
  • (出演) ルーニー・マーラ、ライアン・ゴズリング、マイケル・ファスベンダー、ナタリー・ポートマン、ケイト・ブランシェット、ヴァル・キルマー、ホリー・ハンター他
  • (上映日) 2020年12月25日
  • (上映時間) 128分

www.kingrecords.co.jp

以下、あらすじ。(参照 Filmarks

音楽の街、オースティン。何者かになりたいフリーターのフェイ(ルーニー・マーラ)は、成功した大物プロデューサーのクック(マイケル・ファスベンダー)と密かに付き合っていた。そんなフェイに売れないソングライターBV(ライアン・ゴズリング)が想いを寄せる。一方、恋愛をゲームのように楽しむクックは夢を諦めたウェイトレスのロンダ(ナタリー・ポートマン)を誘惑。愛と裏切りが交差するなか、思いもよらない運命が4人を待ち受けていた…。

youtu.be

テレンス・マリック監督が、音楽の街オースティンを舞台に豪華キャストを配して描き出した『ソング・トゥ・ソング』。ライアン・ゴズリング、ルーニー・マーラ、マイケル・ファスベンダー、ナタリー・ポートマンといった、これ以上ないほど贅沢な俳優陣が集結しているのだが、その仕上がりは極めて独創的であり、観る者を激しく選ぶ一作だ。

 

【俺の評価】
⭐(星1つ)

 

物語は、音楽業界で成功を夢見る二人の男女と、彼らを取り巻く人々との愛執、裏切り、そして再生を描いている……はずなのだが、正直に言わせてもらうと、そのストーリーの輪郭を掴むことすら困難だった。全編を通して、まるで夢の中にいるようなスピリチュアルな雰囲気が漂い、ささやくようなモノローグが重なる。映像の一コマ一コマは息を呑むほど美しく、テレンス・マリック監督らしい芸術的な完成度は感じるのだが、肝心の内容が全く頭に入ってこない。

俺は普段、一度に観終えることができなくても、2〜3日あれば最後まで辿り着けるタイプなのだが、この作品に関しては別だった。あまりの退屈さに、最後まで観るのがこれほど苦痛に感じたことは珍しい。時間の流れが止まってしまったかのような感覚に陥り、完走するまでにかなりの時間を要してしまった。

美しい映像の断片を繋ぎ合わせた「雰囲気映画」としては、あるいは高く評価する層もいるのだろう。しかし、映画に物語としての推進力や、登場人物への共感、そして何より「次はどうなるんだ?」というワクワク感を求めてしまう俺にとっては、残念ながら一ミリも刺さるポイントがなかった。

出演されている俳優さんたちの、どこか虚空を見つめるような物憂げな表情や、即興劇のようなやり取り。それらは確かに「美学」ではあるかもしれない。だが、それらが積み重なっても、一つの「物語」として心に響いてこないのだ。40代という現実の荒波を生きている身としては、この高尚すぎる「愛の迷走」に付き合うには、あまりにも人生の貴重な時間を浪費しているような気分にさえなってしまった。

Amazonプライムの膨大なライブラリの中で、極限まで抽象化された映像詩に身を委ねたいという稀有な瞬間には、あるいは適しているのかもしれない。だが、俺の個人的な映画体験としては、途方に暮れるばかりの星一つである。この独特なリズムに乗り切れるか、それとも俺のように置き去りにされるか。まさに観る者の感性を試すような、ある意味で恐ろしい一本だと言える。

ありがとうございました。