- (監督) オリヴァー・ストーン
- (出演) トム・クルーズ、レイモンド・J・バリー、キャロライン・カヴァ、キーラ・セジウィック、フランク・ホエーリー、ジェリー・レヴィン、ウィレム・デフォー他
- (上映日) 1990年2月17日
- (上映時間) 145分
以下、あらすじ。(参照 Filmarks)
アメリカの独立記念日に生を受けたロン・コービックは、高校卒業後、愛国心と希望を胸に海兵隊へ入隊しベトナムへと旅立つ。だが、戦場でロンは部下を撃ち殺してしまい、自身も下半身不随となる。その後、故郷に帰ったロンを待っていたのは反戦運動で…。
オリヴァー・ストーン監督が、自身のベトナム従軍経験を投影するように作り上げた渾身の一作『7月4日に生まれて』。トム・クルーズがこれまでの爽やかなスター像を脱ぎ捨て、魂を削るような熱演を見せたことで知られる不朽の名作である。
【俺の評価】
⭐⭐⭐⭐(星4つ)
物語は、アメリカの独立記念日(7月4日)に生まれた青年ロン・コーヴィック(トム・クルーズ)の激動の半生を追う。熱烈な愛国心を持ってベトナム戦争に志願した彼が、戦地で悪夢のような現実を目の当たりにし、下半身不随となって帰還するところから、この映画の真の「戦争」が始まる。
ベトナム戦争をテーマにした映画は数多くあるが、本作が特筆すべきなのは、戦場そのものの悲惨さ以上に、帰還した兵士が自国内で直面する「心の戦場」を冷徹に描き出している点だ。英雄として称えられるはずが、反戦ムードが高まる社会で冷遇され、家族とも衝突し、自分自身の身体とアイデンティティを喪失していく。なるほど、こういう視点から戦争を問い直すのかと、深く考えさせられた。
主演のトム・クルーズの演技は、まさに「脱皮」と言える凄みがある。車椅子に揺られながら、怒りと絶望に震え、やがて反戦運動へと身を投じていくロンの変遷。その眼差しに宿る熱量は、観ているこちらの胸を突き刺す。彼が演じたからこそ、この過酷な人生ドラマに、ある種の気高さと説得力が宿ったのだろう。
単なる政治的なプロパガンダ映画ではなく、一人の男が「国家」という幻想に裏切られ、そこからいかにして自分自身の声を取り戻していくかという、骨太な人間ドラマとして完成されている。オリヴァー・ストーン監督の演出は容赦がなく、観る者に強い痛みを強いるが、それゆえにラストシーンで彼が見出す微かな希望が、より一層重みを増して響いてくる。
戦争という巨大なうねりの中で、個人の人生がいかに翻弄され、そして再生していくのか。今この時代にこそ、Amazonプライムでじっくりと鑑賞すべき価値のある一作だ。星4つという評価は、その圧倒的な熱量と、時代を超えて色褪せないメッセージに対する敬意である。
ありがとうございました。