暁降のころ―映画と読書のジャーナル―

暁降(あかときくたち)と読みます。もっぱら映画と小説の感想がメインです。

鑑了 ロードハウス/孤独の街

  • (監督) ダグ・リーマン
  • (出演) ジェイク・ギレンホール、ダニエラ・メルヒオール、ビリー・マグヌッセン、ジェシカ・ウィリアムズ、ヨアキム・デ・アルメイダ、コナー・マクレガー、ルーカス・ゲイジ他
  • (製作)2024年 
  • (上映時間) 123分

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以下、あらすじ。(参照 Filmarks

80年代のオリジナル映画の熱狂をそのままにリメイクした本作では、元UFCファイターのダルトン(ジェイク・ギレンホール)が、フロリダキーズにある“ロードハウス”で用心棒の仕事に就く。しかし、この美しい島がただの楽園ではないことを知る。

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この作品は、1989年のパトリック・スウェイジ主演のカルト的人気作を、現代的な視点と過剰なまでのエネルギーで再構築した、野性的でキネティックなアクション映画だそう。舞台をオリジナルのミズーリ州から、太陽が降り注ぐフロリダ・キーズの美しい島へと移し、古典的な西部劇の骨組みに総合格闘技(MMA)の熱量を流し込んだ本作は、単なるリメイクの枠を超えた独自の狂気を放っている。ジェイク・ギレンホール演じる主人公ダルトンは、かつてUFCの頂点に立ちながら、ある悲劇的な事件を境にリングを去った孤独な男。彼のキャラクター造形は実に見事であり、穏やかな微笑みと彫刻のように鍛え上げられた肉体の裏には、制御不能な暴力性への恐怖と深い自己嫌悪が同居している。彼が用心棒として雇われたバーで見せる、敵を叩きのめす前に「保険には入っているか」と尋ね、怪我をさせた後に自ら病院へ運ぶといった奇妙な礼儀正しさは、彼の内面にある危うい均衡を象徴しており、観ていても惹きつけられてやまない。

対照的に、本作で鮮烈な映画デビューを飾った本物の格闘家コナー・マクレガー演じる刺客ノックスは、文明やルールをあざ笑うかのような純粋な破壊の権化として描かれている。彼が登場した瞬間から、物語は理性のタガが外れたかのように加速していく。

ダグ・リーマン監督は、『ボーン・アイデンティティー』などで見せたスピード感をさらに進化させ、CGを駆使した斬新なカメラワークによって、打撃の重みと衝撃をダイレクトに観客へ叩きつける。POVショットを織り交ぜた格闘シーンは、ビデオゲームのような没入感と、肉体同士が激突する生々しい実感を同時に味わうことができる。この過剰とも言える演出は、美しく開放的なリゾート地の風景と、そこで繰り広げられる血生臭いバイオレンスとの鮮やかなコントラストを際立たせてくれる。

物語自体は「流れ者が悪党から街を救う」という極めて古典的な構造を踏襲しているが、本作の魅力はその形式美よりも、過剰なエネルギーの衝突そのものにある。ダルトンが自らの暴力性と向き合い、最後にはそれを解放して敵を粉砕するカタルシスは、現代社会が押し付ける「洗練」への反逆のようにも映る。脇を固めるキャラクターたちも個性的であり、特に地元の少女との交流が、ダルトンの人間的な側面を辛うじて繋ぎ止めている点も物語に奥行きを与えている。結局のところ、本作は洗練された芸術映画を目指しているわけではない。むしろ、アドレナリンが沸騰するような興奮と、人間の原始的な闘争本能を肯定するような、徹頭徹尾「エンターテインメント」に徹した一作だった。

ありがとうございました。

 

 

ロードハウス/孤独の街

ロードハウス/孤独の街

  • ジェイク・ギレンホール
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