暁降ちのころ

暁降ち(あかつきくたち)と読みます。40歳から始めた日常の整理、備忘録などを思うままに好き勝手書いています。

読了 儚い羊たちの祝宴

著者 米澤 穂信

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夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

 

~~~~~以下、感想。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

米澤穂信さんは『満願』という作品を読み、ハマってしまった。本作品は、その満願のレビューのなかでコメントがあったことから気になってお買い上げ。

物語は「身内に不幸がありまして」、「北の館の罪人」、「山荘秘聞」、「玉野五十鈴の誉れ」、「儚い羊たちの晩餐」の5編で構成されている。それぞれは独立した展開の話であるものの、共通しているのが『バベルの会』という読書俱楽部。教養と品格を備えた上流階級の女性たちが集う大学の倶楽部で、毎年8月には蓼沼の別荘で避暑を兼ねた読書会が開かれる会だそう。

作品には最初の「身内に不幸がありまして」で一気に引き込まれた。もちろんここにも『バベルの会』が絡んでいる。そして「北の館の罪人」で若干???となったが「山荘秘聞」で再びグッと引き込まれ、「玉野五十鈴の誉れ」、「儚い羊たちの晩餐」についてはその勢いのまま読み進めてしまった。

特筆すべきは、各章のタイトルの秀逸さ。ネタバレになるので書かないが、最後の一文を読んだときの腹落ち加減は見事としか言いようがない。誉め言葉として言うが、後味の悪さもピカイチ。ミステリーというよりホラーに分類されるのではないかという世界観も、これが好きな人にはたまらないのかもしれない。

これは第166回直木賞を受賞された『黒牢城』も、読んでみたくなってきた。

ありがとうございました。